賃貸不動産の個人オーナーで、まだ確定申告を行ったことがない方
はじめに
不動産所得、事業所得、山林所得に関しては、所定の承認申請手続きを行うことで、青色申告を行うことができます。
本投稿では不動産所得に関して、青色申告を適用することで得られる主な特典を解説します。
青色申告の主な特典(不動産所得)
不動産所得の青色申告には主に以下の特典があります。
なお、青色申告者は日々の取引を記録した帳簿(仕訳帳、総勘定元帳など)や書類を原則として7年間保存する義務があります。
(請求書、見積書、契約書などの一定の書類は5年間保存)
保存期間の起算日は、翌年3月15日の翌日です。
- 特典1 青色申告特別控除
-
- 55万円控除(一定の要件を満たす場合 65万円控除)
不動産所得に関する取引を複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して申告期限までに提出している場合は55万円の青色申告特別控除を受けることができます。
10万円増額された65万円控除を受けるためには、
・所定の要件を満たした電子帳簿保存を行う
・e-Taxを用いた電子申告を行う
のいずれかの条件を満たす必要があります。 - 10万円控除
上記の条件を満たさない青色申告者は、10万円の青色申告特別控除が適用されます。
- 55万円控除(一定の要件を満たす場合 65万円控除)
- 特典2 青色事業専従者給与
-
「青色事業専従者給与に関する届出書」を所定の期限までに提出することで、以下の条件を満たす人に対して、届出額の範囲内で支給された給与を必要経費とすることができます。
・青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
・その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
・原則としてその年を通じて6か月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること
なお、支給額は労務の対価として相当であると認められる金額でなければならず、労務内容などの実態に対して過大であると認定されると過大部分は必要経費にできない点に注意が必要です。 - 特典3 純損失の繰越しと繰戻し
-
不動産所得で生じた損失(赤字)がある場合で、他の所得と相殺(損益通算)してもなお引ききれない部分の金額(純損失)があるときは、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して翌年分以降の所得金額から控除することができます。
また、損失発生年の前年も青色申告をしている場合は、上記繰越しに代えて、前年分の所得税額の還付を受けることもできます。
青色申告承認申請の手続き
新たに青色申告の申請をする場合は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日までに、「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
ただし、青色申告をしようとする年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合は、業務を開始した日から2ヵ月以内に申請書を提出すれば適用を受けることができます。
この投稿には、簡潔な説明を行う都合上、厳密性を欠く部分があります。
また、掲載している情報は投稿日時点の法令等に基づくものであり、
最新の税法や個別の状況によっては異なる取り扱いとなる場合があります。
個別具体的な税務判断や申告手続きを行う際は、必ず税理士等の専門家にご相談いただき、
専門家のアドバイスに基づいたご判断をお願いいたします。