賃貸不動産の個人オーナーで、まだ確定申告を行ったことがない方
はじめに
不動産を貸し付けている場合、基本的には収入を得た年の翌年3月15日までに確定申告が必要となります。
所得税の確定申告では、所得を10種類に区分して計算を行いますが、不動産を貸し付けた場合の収入に関して、どのように区分すべきかの概要を以下確認していきます。
不動産所得とは
まず「不動産所得」とはどのような所得なのでしょうか。
国税庁のタックスアンサー(よくある税の質問)「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」では、以下のように記載されています。
不動産所得とは、次の(1)から(3)までの所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除きます。)をいいます。
(1) 土地や建物などの不動産の貸付け
(2) 借地権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け
(3) 船舶や航空機の貸付け
(1)は、地代・家賃・更新料などが該当し、不動産を貸し付けた際の収入で一番イメージがしやすいものかと思います。
(2)は、地上権・借地権・永小作権などの貸し付け、設定に伴う権利金収入等が該当します。
(3)は、不動産の貸し付けではありませんが、所得区分上は不動産所得として集計されます。
区分所有マンションやアパートなどの貸し付けで、賃借人と賃貸借契約を締結して受け取る賃料収入は、基本的には不動産所得に該当するものと考えられます。
不動産所得とならないケースの例
上記の不動産所得の定義で「事業所得または譲渡所得に該当するものを除きます。」とあるように、不動産の貸し付けや権利設定の対価でも不動産所得に該当しない場合があります。
- 事業所得(規模や経営の程度によっては雑所得)に該当する場合
サービスの提供が伴う場合には、事業所得(雑所得)に該当します。
例えば、賄い付きの下宿やホテル・旅館などは単なる不動産の貸し付けではなく、
利用者に対するサービス提供を伴うため、その賃貸料(利用料)は不動産所得に該当しません。
「民泊」も同様の判断となります。
住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)に規定する住宅宿泊事業に関する課税上の取扱いは、国税庁より以下のFAQ(平成30年6月13日付)が公表されています。
「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)」
このFAQでは、自己が居住する住宅を利用して同法に規定する住宅宿泊事業を行う場合、原則として雑所得に該当するとの記載があります。
雑所得に該当した場合は、雑所得で生じた損失を他区分の所得と相殺(損益通算)できない点に注意が必要です。 - 譲渡所得に該当する場合
例えば、借地権の設定に伴って受け取る権利金の額が、土地の時価の50%を超えるときは、不動産所得でなく譲渡所得に該当します。
これは、権利金の額が土地の時価の50%を超える場合は、実質的に土地の一部分を譲渡したこととその効果が変わらないと考えられるためです。
この投稿には、簡潔な説明を行う都合上、厳密性を欠く部分があります。
また、掲載している情報は投稿日時点の法令等に基づくものであり、
最新の税法や個別の状況によっては異なる取り扱いとなる場合があります。
個別具体的な税務判断や申告手続きを行う際は、必ず税理士等の専門家にご相談いただき、
専門家のアドバイスに基づいたご判断をお願いいたします。